【大浦十一面腹帯観音堂】あたたかい母のまなざし
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長浜で観音さんというと高月町、木之本町のイメージが強いですが、西浅井町も負けていません。
しかし、拝観の受け入れ体制が整っておらず、秘仏状態であるところが多いです。
その中で、予約連絡をすれば拝観できる「大浦十一面腹帯観音堂」の観音さんは、仏像ファンだけでなく、各地の女性のお参りが絶えません。
88年蓮池に眠っていた観音さん
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本尊の十一面観音さんは伝教大師最澄がカヤの一木から彫り出したとされています。
元々は大浦の八幡神社奥の院であった観音寺に安置されていたとされていますが、元亀元年(1570)姉川合戦の戦火を免れるため、境内にあった蓮池に沈められました。
その88年後、当時の八幡神社の神職により池の底から掘り出され、神社の境内に安置されました。
その後、明治維新を機に現在の地に安置されたと伝わっています。
ちなみに蓮池から掘り出された時、多くのサラシでそのお体を清め、サラシは腹帯として妊婦に分けたところ、誰もが安産だったとのこと。
それより「子宝」「安産」の観音さんとして、今も変わらず地元に留まらず、各地から親しまれています。
柔らかく優しいお顔立ちに色っぽいからだつき
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図録などの写真でみるとやや面長なお顔も、実際に拝んでみると、丸み帯びたフェイスラインに、小さくも質感あるくちびるが、柔らかい雰囲気を醸し出しています。
蓮池に眠っていた期間もあってか、お体は摩耗してものの、お顔は綺麗なままだから不思議なこと。
湯に浸かるようにいらっしゃったのでは?と、少々可愛らしい姿がよぎりました。
しかし三道ははっきりと刻まれ、キュっと絞られたくびれに、太腿は厚い。
「なんとも色っぽいなぁ、なんて思ったりするな」と地元の方にも言われるほど。
世話方さんが腹帯を巻き替えている
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腹帯を一週間ごとに巻き替えています。
腹帯観音さんは、平安時代中期頃まで遡るとされていますが、文化財の指定を受けていません。
それは祈願される方々の腹帯をこれからも巻くためと聞きました。
仏像ではあるけれども、あくまで「観音さんにお守りしていただく」ことを大事としているのですね。
▼湖北の人を紹介するメディア「コホクニ、」に、世話方さんが腹帯を巻き替えている様子も掲載されています。
コホクニ、小川俊之さん「身近な存在である観音さんにいつでもお会いできるようにしたい」
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※大浦十一面腹帯観音堂は写真撮影禁止です。取材にて特別に許可をいただき撮影、掲載しております。