西野薬師堂・正妙寺 -逞しいホトケさんと愛らしいホトケさん-

高月町といえば「よう、おまいりやす」

薬師堂がある充満寺飛地境内へ向かうと「よう、おまいりやす」の文字。

このような看板があると、地元の方々の温かい雰囲気を感じます。

早速、薬師堂へ上がると縁側の板のザラザラとした感触が。

この日に焼けた感じがまた良いですね。

逞しい胸と腰回りにドキドキ

堂内で坐して手を合わせ見上げると、どっしりとした重量感ある観音さんと薬師さんが。

そのお顔は目鼻立ちが整い、キリリとされていますが、下ぶくれた頬が穏やかな印象です。

どうしても気になってしまうのは、がっちりとした体つき。

どうしても目に入ってしまう上半身は肩幅が広く、胸は隆起し、腹部の肉付きも豊かです。

足元から観音さんの意思を感じる

「なんとも男らしい」と不覚にもドキドキしながら視線を下げると、腰より下もどっしりとされていて、右足を半歩開き、腰をひねり、右膝を曲げる動作は、ゆったりとした優雅さも感じます。

足の甲も成人男性のような堅く、かけっこをしたら力強く地を蹴っていそうな感じです。

よくよく見ると、観音さんの右足先は蓮台の縁までかかっていて、そのまま蓮台からこちらへ降りて私たちへ歩み寄ろうとしているようにもみえます。

薬師さんは来迎印で微笑む

観音さんのお隣には薬師さん。

このお方は正面からよりもやや横から見上げると、眉は柔らかい曲線を描き、目はきゅうと細め、少々厚い上唇が微笑みを深く穏やかなものに。

薬師如来の多くが、左手に薬壺をのせていますが、西野薬師堂の薬師さんは阿弥陀如来の来迎印を結んだ手をされています。

これはいつの時代かに、阿弥陀如来の救済を求めた人々が手首をなおす際に、取り替えたのではないか?とも言われています。

来迎印を結ぶ薬師さんのお姿は、「大丈夫大丈夫」と優しく微笑み、向き合う人を安心させてくださいます。

 

どこか愛らしい憤怒の千手千足観音さん

薬師堂を出て、正妙寺の千手千足観音さんがいらっしゃる、もう一つの薬師堂へ。

ほかに例をみない千足をもつ観音さん。

千手千足観音さんについては、鎌倉時代の天台系図像集『阿沙縛抄』『白宝抄』に「千足観音」の記載がみられ、この地にこの像が伝わる背景には台密の影響があったと考えられています。

観音さんでありながら、本面(中心のお顔)が憤怒相であり、上半身が裸であること、そして千足という不思議なお姿をされた観音さん。

千の手は想像はつくものの、千の足はどのように表現するのだろうと思いきや、そうきましたかという感じですね。

この方は手足を背中、腰で支えているので、かなり重心が後ろにかかり、よく見ると左足が少々浮いてしまっています。

牙を見せ、大笑いしているようにも見えるその表情は小学生くらいのイタズラ少年のよう。

ついついイタズラが見つかって、追いかけてくる先生から逃げようとした瞬間を思い浮かべてしまいました。

千手千足観音さんの厨子内に小さなホトケさんもいらっしゃいました

 

気をつけておかえる

観音さんたちに別れを告げ、車で西野の集落を出ようとすると、「気をつけておかえる(おかえり)」の看板が。

集落内にある村人たちがつくった看板や花壇、よだれ掛けがかかった石仏さんなどが、その村のあたたかさをじわりじわりと感じさせてくれます。

ぜひお参りの際は、周辺の景観にも注目していただきたいですね。

 

※西野薬師堂、正妙寺は写真撮影禁止です。取材にて特別に許可をいただき撮影、掲載しております。

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