村の景色を見ると、懐かしいと感じる。

仏像を前にすると、仏像に手を合わせてきた人々を思う。

村人の話をきくと、胸があたたかくなる。

立ち去ろうとすると、離れ難くなる。

そうして、また会いたくなる。

観光寺院にはない地域の仏像がもつ不思議な魅力。

それは、向き合うとあたたかくて、心落ち着く「なにか」を纏う仏像。

 

それは古来日本人が感じてきた「なごり」なのではないでしょうか。

「なごり」という言葉は、波が浜に打ちよせ、引いた後に小さく残る「波残り」に由来し、万葉集でも使われていることばです。

物事が過ぎ去っても漂い残るものに、時代を問わず人は惹かれ「名残り惜しい」と口にするのでしょう。

 

人は「なごり」を受け取り、残す

仏像と向き合った時、肌で感じる空気感、堂内の匂い、目にうつる仏像の姿、村の景色、村人の言葉のなかに、仏像がこれまで歩んできた歴史や仏像を拝んできた人々の「なごり」がひそんでいます。

過ごしてきた時間や環境が異なれば、纏う「なごり」もそれぞれの地域色が出ます。

その仏像が、その地域の仏らしくあるためには「なごり」を生み出す空間とそこに暮らす人々がこれからも必要です。

そして外に暮らす私もまた仏像に思いを「なごり」を残す存在でもあります。

このことは仏像に限らず、文化財、様々な地域文化でも言えることだと思います。

 

※「山﨑デザイン事務所」さんにロゴ、webデザインしていただきました。

 

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