【小谷寺】異国の王子さまのような観音さん-
葉が色づき始め、山もところどころ紅葉してきました。
毎年、11月中旬は小谷寺ご本尊の如意輪観音半跏思惟像の御開帳があります。
可愛らしい装いに憂いの表情
小谷寺ご本尊はちいさな観音さん。
『見仏記』でお馴染みのみうらじゅんさんは「観音信仰でもっともチャーミングな観音」と称されています。
朝鮮半島から渡ってきた渡来仏とも言われています。
指先を顎に当て、眉頭は鋭く、半眼で、憂いの表情。
右足もふんわりというよりはサッと軽やかに上げたように思えます。
宝珠をのせた三日月の宝冠は異国の王子のような気品高さが感じられます。
正面から座ってお顔をみると、小さな鼻に、おちょぼ口、頬から顎にかけてのラインが丸み帯びていています。
そして顔にあてている指は曲線を描き、とても柔らかい印象を受けます。
宝冠に三日月に、腰下あたりにあるリボンのような佩飾(はいしょく)。
衣の裾はスカートの裾のようにふわり、としています。
資料館から里帰りの二天
なんといっても広目天、多聞天が高月歴史民俗資料館から帰ってきた。
小さくても、にくにくしい身体つきは平安仏ならではの魅力!
また足元の邪鬼も負けじと歯を食いしばっています。
年に一度、お会いするのが楽しみ
この日は大雨で寒く、あたたかいお茶とストーブに当たりながら、ご本尊の観音さんについて地元の方とお話を。
大学の先生が拝観に訪れ、「7世紀頃の朝鮮半島でつくられた渡来仏であり、金銅仏である」とおっしゃっていたと満面の笑みでお話されていました。
また近年、メディアでも取り上げられることもあり、拝観者の方々が増えているとのこと。
「観音さんと年に一度お会いできることも嬉しいですが、毎年お参りにくる方が多いので、この時期が楽しみなんや」
人と人のご縁を結んでくださる小谷寺如意輪観音半跏思惟像のご開帳。
毎年、あたたかい人の交流がそこにありました。
※小谷寺は写真撮影禁止です。取材にて特別に許可をいただき撮影、掲載しております。