【竹蓮寺】観音さんになった阿弥陀さん

寺という名を持ちながらも住職はおらず、村の方々によってお守りされているお堂です。

西阿閉自治会館のそばにあり、村事で集まるときも皆さん、観音さんに手を合わせる。

子どもたちもお堂のそばにある遊具で遊び、走りまわる。

西阿閉の観音さんは、そんな景色のなかにいらっしゃいます。

 

西阿閉の観音さんは宝冠阿弥陀如来だった?!

滋賀県長浜市高月町西阿閉の竹蓮寺にいらっしゃる観音さんは、ほかの地域の観音さんとすこしちがいます。

よくお顔をみると、観音さんには無い螺髪が!

お体をみると衣の感じもちがう。

元々は宝冠阿弥陀如来として制作されたホトケさんですが、地元では聖観音菩薩として伝わり「観音さん」と呼び親しまれています。

ほんの数十年前までは、瓔珞(首飾り)や宝冠を被っていらっしゃったとのこと。

平安時代中期の制作で肩幅の広さや角ばったお顔など、なんとも言えない安定感が如来である風格を感じさせます。

その一方で微笑む口元や目元が優しい印象を与え、観音さんの慈悲を含んだ表情に見えます。

 

世話方さん、語り部さんたちが集う

竹蓮寺で語り部と言えば、ひろべさん、御年90歳。

お伺いする度に、知らない話を一つは持ち込んでくださるレジェンド語り部さん。

観音まつりでは、ひろべさんファンが竹蓮寺に毎年足を運ぶんだとか。

お伺いすると、竹蓮寺の世話方さんに語り部さん、いつもお参りされている地元の方々が、観音さんにまつわるお話やこれからへの思いをお聞かせくださいます。

世話方さんは仏像の専門家ではないですが、お一人お一人の観音さんとの思い出を聞いていると、観音さんへの素朴な信仰、親しみの根底のところが感じられます。

 

語りの継承として積極的に取り組んでいる

そんな西阿閉でも、村の歴史、言い伝え、風習も知る人がほとんどいなくなってしまっているとのこと。

これからお参りに来られた方に、きちんと竹蓮寺の観音さんのことを紹介したい!ということで、お堂で語り部さんがお話しされている様子が見られるようにDVDプレイヤーを準備しています。

今でも地域の行事や取材があるとき、映像記録を積極的にとっています。

お久しぶりにお話でもしませんか?とお声かけさせていただくと、すぐに集まってきてくださる西阿閉の皆さんが本当に素敵です。

日頃1人活動をしていますので、なかなか撮れない集合写真もこのときは同席されていた記者さんにパシャリお願いしました。

 

追記:手づくり御朱印メーカー

村の中で誰でも拝観者に対応できるように、手づくり御朱印メーカーが西阿閉で誕生していました!

住職がいないお堂では、御朱印を書くことができる人がいることは稀です。

スタンプ形式の御朱印でなんとか対応する中で、考えられた案なのでしょう。

手づくり感がなんとも味があっていい…。

 

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中日新聞に掲載