【栗東歴史民俗博物館】「栗太郡の神・仏 祈りのかがやき」展へいってきた!
旧栗太郡とは、現在の大津市瀬田川以東、栗東市と草津市全域、守山市の一部をさします。
旧・栗太郡には、草津市の芦浦観音寺や栗東市の金勝寺など古くから勢力の強い寺が多かったとされています。
琵琶湖文化館に寄託されている神仏が公開
栗東歴史民俗博物館と県立琵琶湖文化館の連携企画の展覧会では、期間中、重要文化財を含め仏像など32件が展示されています。
琵琶湖文化館は現在、老朽化により休館していますが、収蔵されている数々の至宝は、開館時と変わらない貸し出し状況です。
今回は栗太郡に関連する収蔵品を栗東歴博で展示することで、その地域の文化を伝える役割を担っているのでしょう。
個人的な見どころは、金勝寺・女神坐像(琵琶湖文化館寄託)。
10世紀まで遡るとされる金勝寺に伝わる神像群のなかでも最古級の1躯。
その着衣の形式に、髪型、表情全てに釘付けになります。
そして心ひきよせられたのは、栗東市・阿弥陀寺(善勝寺旧蔵)の薬師三尊像。
特に日光・月光さんにグッときました。
どちらも、足がスラリと長い。
日光さんは目鼻口が小さく、おさげのような垂髪が可愛らしい。
月光さんは結ばれた天衣の軽やかさと台座まで垂れた裾が少し大人な感じ。
本気の「通史展示」も見逃すことなかれ
企画展に合わせて、コーナー展示「栗東の神・仏」を開催しています(11月15日日曜日まで)。
一般的にはミュージアムでは「常設展示」と言いますが、栗東歴博さんは
何時行っても同じ”ではない、すこしずつ生まれ変わってゆく展示を目指している
ことから「通史展示」としているそうです。
その思いが強く感じられる展示ですよ!
『星と祭』で登場した円満寺の十一面観音さんも公開
スポット展示として、近江八幡市・円満寺の木造十一面観音立像(重要文化財)も展示されています!
昭和の文豪・井上靖の小説『星と祭』に登場することでも知られる観音さんです。
これまでに湖畔で拝んだ何体かの十一面観音像の中で、この小さい観音さまが一番古さを素直に身に付けているかも知れない。言い方をかえれば、それだけ、この観音像が経て来た過去の歳月というものは、容易ならぬものであるかも知れなかった。(中略)いかなる顔立ちであるかはっきりしていないが、何とも言えず静かで、いい感じである。自分の過去にどれだけの時間が降り積んでいるか知らない。何事が起ったか、いかなる事があったか、いっさい知らない。自分はただこうしていつもひとりで立っていただけである。――小さい十一面観音像はそう言っているかのようである。
『星と祭』より
こちらも11月15日まで。今回の展示は逃すわけにはいきませんね。
▼展覧会スケジュールはこちらから