瓦屋寺の本堂・諸仏修理事業について
瓦屋寺さんでは令和5年の秘仏本尊のご開帳に向けて、本堂大修理、ご本尊修理、四天王像修理事業をされています。
以前お参りさせていただいた時に、ご住職のお寺のあり方やホトケ様をお守りすることに対するお考えを聞き、感動しました。
ぜひ瓦屋寺さんのことを、多くの方に知っていただき、今回の修理事業でもご協力をいただければと思います。
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瓦屋寺とは?
瓦屋寺は滋賀県湖東地方の東近江市にある臨済宗妙心寺派のお寺。
その歴史は1,400年以上前に遡り、寺伝によると聖徳太子が山中の土を用いて、瓦を106,000枚以上造らせて摂津の四天王寺建立の際に、その瓦を用いたことが寺名の由来とされています。
かつては華厳宗の東大寺の末寺であり、一山四十八坊を抱える大寺院として隆盛を極め、比叡山延暦寺の関係で天台宗時代もありましたが、永禄年間に織田氏の兵火にかかり、惜しくも堂宇は消失してし、衰退してしまいました。
その後江戸初期に、奥州松島瑞巌寺中興・雲居希膺が東近江市内に伊達藩の飛び地があった関係で、その高弟の香山祖桂がその衰退を嘆き、再興を誓い雲居希膺の篤志者であった八日市福原茂右衛門を願主に小堂を建立し、梵鐘を吊って臨済宗妙心寺派の一寺として「瓦屋寺」が中興されました。
現在の本堂は江戸時代初期に再建されたもので、平成30年4月に登録有形文化財として庫裡・地蔵堂・開山堂・経堂・賓頭盧堂・鐘堂とともに、七棟が指定されています。
令和5年秘仏本尊のご開帳で注目が集まる
本堂には、秘仏本尊の十一面千手千眼観世音菩薩立像(重文)を安置し、四天王像(市指定)や聖徳太子二歳時の南無佛(秘仏)等多数の古仏が安置されています。
この秘仏本尊が令和5年10月1日から12月3日まで、半世紀ぶりにご開帳されます。
本尊の観音さんは「芋観音」とも呼ばれ、天然痘などの流行り病に霊験あらたかなホトケさんとして信仰されてきました。
※なんと、サツマイモを備えて祈願したとのお話もあるようです。
エコなヨシ葺の本堂
本堂の屋根は、近年では珍しくなった琵琶湖で採取されるヨシが用いられています。
【参考】瓦屋寺本堂について
瓦屋禅寺本堂は琵琶湖で採取される葭(よし)を用いた近年では珍しくなった茅葺類の本堂(国登録文化財)であります。大きさは桁行三間、梁間四間の大きな入母屋造りで正面には向拝を一間を備えた壮大な造りの本堂となります。開基聖徳太子が創建当時(約1400年前)に建立した姿はの姿は現在では見ることは出来ませんが、1645年(正保2年)~1676年(延宝4年)に建立した山寺の本堂には目を引かれます。(瓦屋禅寺HPより)
建築面積149㎡。箕作山の境内に南面する。桁行三間、梁間四間、入母屋造、茅葺で向拝一間。堂内は一室で中央後寄りに須弥壇、背面両端に脇壇を設ける。円柱に台輪を載せ組物は出三斗で、正面中備は頭貫下に蟇股、上に間斗束を重ねる。和様と禅宗様を巧みに取り入れた本堂。 (文化遺産オンラインより)
本堂の修理事業について
昭和初期に一度屋根を葺き替えられたそうですが、本堂の傷みは激しく、ヨシの葺き替えや外壁の塗り直しなどの様々な修理を必要としています。
昭和初期にヨシ屋根総葺き替えし昭和56年平成10年に部分差し替えを中興された江戸初期から初めての大修理となります
本堂の修理にかかる全体事業費は4000万円。
自治体からの補助はあるものの、自己負担は重く、広く修理費を募る必要があります。
特別に修理工事現場を見学
今回、特別に修理現場に立ち会わせていただきました。
外側のヨシは風雨にさらされているので、表面は劣化していますが、内側は劣化していないため再利用できるそうです。
なんと全体の3分の1は再利用できます。
ヨシを外していくと古い真竹が顔を出しました。
軽量化と風通しをよくする効果があるとのこと。
真竹は日に当たらないと100年以上もつそうで、多くがこれからも現役で活躍します。
使える材は再利用し、劣化してしまったところは新しい材を使う。
また本堂に使われている材は、役目を終えても土に還るものばかりで、とても環境に優しいです。
昔からある知恵、工夫は素晴らしいですね!
環境に優しく、湖国の景色を守るという意味でも、ヨシ葺の建造物がこれからも拝めるのはありがたいことです。
瓦屋寺さんを応援したい!という方へ
瓦屋寺さんを応援する方法についてお伺いしてきましたので、以下の通りです。
瓦屋寺本堂大修理ご協力事業
・ヨシ奉納:1束2,000円〜
※本堂の工事期間が令和3年度中であることから、ヨシ奉納のみ令和3年度までの受付。約5000束必要としています。
・銅板奉納:2,000円〜
・瓦奉納:2,000円 〜
・写経、写仏奉納 2000円〜
それぞれ奉納した翌朝には、祈願供養してくださいます。
また奉納しますと『修理協力之印』を押印された色紙御朱印を頂きます。
※各色紙の数には限りがあり、紙の色は基本選べませんのでご了承下さい
なお、遠方の方は現金書留または振込用紙で送付させて頂きますので、瓦屋寺までお問い合わせください。
瓦屋寺の情報詳細
住所:〒527-0007 滋賀県東近江市建部瓦屋寺町436
※太郎坊さん(阿賀神社)中腹駐車場から少し上ったところになります。お電話:0748-22-1065
公式HP:http://www.kawarayaji.com/
SNS:公式Facebook
※修復工事期間中の訪問中は皆様の安全確保のため、土日祝日が望ましいです
見どころは本堂だけではない!
現在、本堂は修理工事が行われていますが、本堂横に子安地蔵堂がひっそりと佇んでいます。
この地蔵堂は正保年間(1644-1647)に造られ、明治14年に改修し、ヨシ屋根入母屋造から瓦屋根に変わったとのこと。
堂内には地蔵菩薩半跏像が安置されていました。
頭部は制作当初の平安時代後期のままで、肩以下は後補とされています。
大きな体躯でありながら、とても穏やかな表情で、向き合う人を包み込んでくれるような温かさを感じます。
また地蔵堂の天井部へ目を向けると、板絵の三十三応現身像がズラリ。
個人的お気に入りは迦楼羅身像と大自在天身像ですが、ゆっくりお一方ずつじっくりみたいもの。
境内には経堂もあり、もしやと心躍らせながら階段を上ると堂内に八角輪蔵の姿もあります。
滋賀県内ですと、三井寺、永源寺、菅山寺(山上)で拝見しておりますが、瓦屋寺の輪蔵に描かれている仏画がユーモアで可愛らしいです。
※特別に許可をいただきまして、回してみました。
現在は工事中のため、本堂の拝観はできませんが、今回ご紹介しました地蔵堂、経堂などの建造物。
そして山寺だからこその豊かな自然に静けさがあり、一度訪れると時間を忘れてゆっくり過ごしたくなります。
涼しい季節になりましたら、運動を兼ねて車ではなく、自分の足で約1000段の石段を踏みしめてお参りチャレンジをします!
最後に
この度、ご縁がございまして、奉納をさせていただきました。
それは何よりも藤澤ご住職の思いをお聞きして、ぜひとも応援したい、頑張っていただきたいと思ったからです。
あそこのお寺の檀家でよかったと思ってもらえるようなお寺でありたいと思っています。
そんな風に思っていただけるように努めたいですね。
そして檀家さんや地元の方々だけでなく、瓦屋寺を多くの人に知っていただきたいです。
1度ではなく、2度3度とお越しいただけるような、そんなお寺を目指しています。
(藤澤住職との会話にて)
瓦屋寺さんがこれから何百年と、お檀家さんや地元の方々とともにあり、外からお越しの方々からも親しまれるお寺になりますように。
※本記事の写真は特別に許可をいただいて撮影しております。