「とあるお堂のほとけさま」を観覧して
先日、福井県立若狭歴史博物館のテーマ展「とあるお堂のほとけさま」を観覧しました。
所在が明らかになると防犯面の心配もあるため、展示されている仏像がいらっしゃるお堂、お寺の名前をふせられての展示。
公開された仏像は、展示ポスターとなった観音さんのような方もいらっしゃれば、湖北のいも観音さんのような、朽損仏もいらっしゃいました。
名前を伏せていても展覧会で公開される機会があることで、多くの方々にその存在とその地域性などが広く知られたらと思います。
個人的には、メッセージボードやノートなどがあればと思いました。
観覧者の気持ちを展示協力をされた所蔵者の方々、地元の方々に届けて、自分たちのほとけ様への愛着や誇りに思い、これからも守り繋ぐモチベーションにつながってほしいと思います。
防犯面の不安を感じ、拝観の受け入れをしていないお堂は少なくない。
それでも地元で定期的に地域行事でその扉が開かれたりしていれば良いですが、その機会もないとなると、心配です。
人が足を運ばなくなり、堂内の掃除をしなくなる。
そうすると仏像も建物もいたむ。
足を運ぶことがほとんどないと、最悪気がついかないうちに盗難に遭っているかもしれない。
何百年と地域で大事にされてきた仏像が、疎遠となっていくのは寂しいことで、最悪の事態となると悲しい結末となってしまう。
そうならないためにも、仏像をお守りしていくなかで、小さくも確かな活動をしていくこと、そして仏像と人の関わる機会をつくっていくことが大切だと思います。
「不安は拭えないから展覧会に名前をふせてでも公開しよう」と所蔵されている地域の方々が思われたなら、確かな一歩ですし、今度はそれをもとにどのように次の行動につなげるか、かと思います。